発明家、横濱金平の新しい発想と森の技術が生んだ
SOUNDWOODS サウンドシステム。
グランドピアノをイメージした木全体で奏でる音は、
聴く者の身体と共鳴し、唯一無二の体験を届けます。
KINPEIをインスパイアしたのは、古くからその形を変えないヴァイオリンやグランドピアノの構造。 木全体を共鳴させることで、正確なのに疲れない、素材の個性をいかした余韻や重なりがある音が生まれました。 木目の限りなく規則的な不均一性が作り出す音は、室内楽のホールのように耳だけでなく全身に心地よく響き、新しい音楽体験をもたらします。
音のエネルギーを一点に集中させ、木全体の面振動を生むSOUNDWOODS サウンドシステム。 約100年前、スピーカーの発明家が実現できなかった技術を、時を経て横濱が開発しました。 距離減衰率が小さく音を遠くまで伝達するドライバーユニットは、天井や壁、床まで鳴らすことに成功。 木の特性を見極め調整することで、世界に一つだけの音を奏でます。
SOUNDWOODSで用いる木が生まれるのは、自然の力と人の手が育む森。日本の発展を支えてきた、林業の原点です。 山の技術を継承する者が減り、建築資材としてのニーズが減るなか、絶えず人間の手を必要とする森をどう活かし守っていくか。 300年前、そして300年後の姿を想像しながら目の前の森と向き合う、横濱の想いがKINPEIには込められています。
由緒ある伊勢の地で育まれた、樹齢約300年以上の巨木を鳴らす御山杉コレクション。 美しく艶のある木目と堂々とした幹の太さが、木が過ごしてきた長い年月を物語ります。 災害時に自然倒伏した木を使用するためすべて限定生産となる、KINPEIを象徴するラインです。
2021年冬、ホームで楽しめるシグニチャーラインが登場。インスタグラムやフェイスブックで最新情報をお送りします。
「木材の家で育ち、森で遊ぶ幼少期を過ごした私にとって、木はずっと身近な存在。木に関わる仕事を通して、日本の森の存在意義について深く考えました。 日本の経済成長を支えてきた林業の森は、一度人の手が入ったら、絶えず人の手を加え続けないといけないもの。 私が拠点としている三重県の松阪周辺は、高野山や熊野古道、吉野から伊勢にかけて、古来より育てられてきた植林の森が多くあります。 成長が止まった木などを間引いて光をまわし、森を循環させる。例えば私もお世話になっている速水林業の森は、台風の後でも清流や湧き水が全く濁らない。 成長の度合いが違う木々や他のたくさんの植物、枯れ葉が朽ちて土となり保水しているからです。これは、人が森と向き合うことで得た知恵と技術の賜物です」
「けれど今は、山の技術を持つ者が少なくなっているのが現状。戦後、建築資材を生産するために行われた過度な伐採が、森のバランスを崩してしまった。 復興や経済も大切でしたからいいも悪いもないですが、熟考は必要だったと思います。一つに特化すれば、必ずどこかで綻びが出てくるものですね。 木造住宅のニーズが少なくなった今、廃れていく日本の森をどう活かし、守っていくか。常に300年前と300年後の森の姿を想像しながら向き合っています。 KINPEIのサウンドシステムも、森の活かし方を考えるうえで生まれてきたといっても過言ではありません」
「約10年前から、「木全体が鳴ったらこういう音になる」というイメージは完璧にできていました。 ただ当時は私の音響の知識もゼロで作業スキルも低く、世の中に電気的なパーツもなかった。 今もまだまだ改良していきたいと思っていますが、最近やっと思い描いていた音が出せるようになり、KINPEIが始まったのです。 長い間成果がでないまま、なぜ追求をやめなかったか? 私の頭の中では常に目指す音が聞こえていましたから。 足りないのはスキルや技術だけ。そこを補えばいいだけだと思っていましたよ。 取得した国際特許や3つの国内特許も徐々に、段階的に取っていったものです」
「私が開発したSOUNDWOODSというサウンドシステムを一言で表すと、いかにエネルギーを集中させ広げるか。 まず音の焦点、つまり音のエネルギーの中心点を導き出す。そこへ音柱と呼ばれる棒を固定することで共振させ、放射状に広げていく技術です。 21m×30mの広い体育館の床を、技術次第でシンプルな装置でも鳴らせるのです。 音柱の仕組みを考えるだけで3年を費やしましたが、気づいたのは、使い古された技術のなかに未来があるということ。 自分でドライバーユニットも作り色々と試しましたが、シンプルなものほど壊れにくい。発想や調整次第で安定した品質を保ちつつ、新しいオリジナルのものが作れた」
「理想としていたのは、グランドピアノやヨーロッパの室内楽のホールの音。身体まで共振する、空間全体の響きです。 だから今の私の音は、聴覚が弱い方でも「聴く」ことができる。 はじめに鳴った音は残念ながら思っていたものと全く違ったので、グランドピアノの響板をもらってきて、実際に5年間くらいずっと叩いて音の響きを確かめました。 なので今、どんな木でも触った感触や軽く叩いた音で、最終的にどんな音が鳴るか想像できるようになりましたね。 いいピアノも、材料の選定と構造が不可欠でしょう? そうした単純なことが、一番大切ですから。 木の大きさや重さ、厚み、繊維の長さ、また質感のバランスなどを見て、それぞれの木に合った駆動点を見極めています」
「幸いにも場所を提供してくれる友人たちが周りにいて、結果も分からない時に「やっていいよ」と快く自宅を貸してくれたりした。 例えば、天井全体を鳴らすので、天井に寝そべって音の振動を直に感じることができる家。 また三角形の空間の両脇にサウンドシステムを1つずつ置き、教会で聴くパイプオルガンのような音が味わえる古民家もあります。 機械で鳴らす全くムラのない均一な音とは違い、木は限りなく規則的だけれど均一ではない楽器のような音を鳴らすので、ずっと聴いていても疲れない。 どこか、人間の心や身体と融和性があるのでしょうね」
「プロダクトデザイナーの鈴木啓太さんとは、本当にいいタイミングで出会えました。 今ドライバーユニットは7世代目となりましたが、それ以前では彼も手出しができなかったでしょうから。会った瞬間、この人なら任せられると思いましたよ。 これから御山杉コレクション以外にもプロダクトラインを発表する予定ですが、啓太さんのデザインにあわせ、完成度を高めるために木材やドライバーユニットの構造を見直しました。 本当の意味で彼の感性やデザインとコラボレーションできる音ができたら、まるでイタリアの楽器工房が行うようなもの作りができるはず。 新しい構想もたくさんあるので、私自身、これからがとても楽しみです」
幼少期より親しんできた木の魅力を追求し広めるため、1997年に「山の加工場ネットワーク」を三重県にて発足。 健康住宅資材の開発と流通を、地域の森林業者とともに行う。 木材研究から商品開発までその活動は多岐にわたり、発明家として多くの特許を取得している。
祖父の影響で骨董に興味を持ち、後にプロダクトデザイナーを志す。 2012年に自身が代表を務める「PRODUCT DESIGN CENTER」設立。 国内外で発表するプロジェクトでは、電車車両から日用品、空間設計に加え、各地の伝統技術を使った作品なども手掛けている。
TECHNOLOGYの基幹技術となる「点駆動ユニット」の開発支援、東京展示場を開設して事業 運営を行う。世界最大の無垢板を鳴らしたり、建築空間での音響の木質化を実現して、新しい時代のコミュニケーション技術の創造に取り組んでいる。
三重県松阪市のポテンシャルを幅広くいかす「地域商社」として、松阪の有志により2018年設立。 古くより伊勢神宮へ続く交通の要所として知られ、多くの偉人を輩出してきた松阪市の、埋もれた技術や商材を支援。総合的な地域創生事業を行う。